No.116 (イラン・アフガニスタン・インド)  : 

イランとインドそれぞれのナショナリズムの芽生えとはどういうものか?」

イランでは,19世紀中頃にシーア派から生まれたバーブ教徒の蜂起がトルコ系
のカージャール朝イラン政府に鎮圧され,19C末にはタバコ=ボイコット運動
(英資本による商品としてのタバコの不買運動)が,アフガーニーによるパン
=イスラーム主義の影響下に起こり,ナショナリズムが芽生えた。インドでは,
1857年インド人傭兵(シパーヒー,またはセポイ)の蜂起に始まるインド大反
乱が起きたが,こちらは英軍により鎮圧された。しかし,民衆の動きにヒンド
ゥー教とイスラーム教の協力が見られナショナリズムの基盤となった。


<評価の観点>
関心・意欲・態度:

日本の幕末期における「尊皇攘夷」を想起しながら,イランやインドのナショ
ナリズムの芽生えについて,大きな関心を持って学習に臨んでいる。


思考・判断:

ヨーロッパ列強が進出する時代に,イランとインドはともにトルコ系異民族に
よる一種の征服王朝であったことや宗教的内部対立のため,ナショナリズムの
実現が難しかったことについて,それが容易であった日本と比較しながら考察
している。


資料活用の技能・表現:
ロシアとイギリスのイラン進出や,イギリスのインド支配の拡大の過程につい
て,地図上で把握している。


知識・理解:
イランではバーブ教徒の蜂起やタバコ=ボイコット運動に,インドではインド
大反乱に,両国のナショナリズムの芽生えや基礎が見られることについて,基
本的な知識を身につけている。